皆さんこんにちは。デジタル活用支援をしている中小企業診断士の津田淳です。

最近、生成AIを活用した業務改善に積極的な会社の皆様からの相談が増え、実際にどのように活用していくかご相談をいただきます。

そのような相談の中で、どのように指示したら良いか(プロンプトといいます。)、指示を言語するのが難しいという相談が結構あります。作り込まれたプロンプトを修正して使うのも良いですが、やはり自分でもっと手軽に使えるようになりたい。私も試行錯誤しています。

そこで今回は例を活用したプロンプトの作り方について考えてみます。

よく人に頼むときもそうですが、◯◯のようにやって欲しい、とか、記入例などを示すことで、アウトプットのイメージが分かりやすくなります。

生成AIも同じ頼み方ができます。

1.例を用いたプロンプトのメリット

① 抽象的な指示よりも、具体的な例の方がAIにとって理解しやすい。

② 言葉で説明するのが難しい概念や期待を、例を通じて明確に伝えられる。

③ 例を通じて、期待する出力のパターンや構造を示すことができる。

④ 適切な例は、AIに新しいアイデアやアプローチを示唆することができる。

2.効果的な例の使い方

(1)複数の例の提供

単一の例ではなく、複数の例を提供することで、より広範囲なパターンを示すことができます。

例:
以下のような文章を3つ生成してください:

"春の陽気に誘われて、公園でピクニックを楽しむ家族たち。"

"夏の夕暮れ、海辺で砂浜を散歩するカップル。"

"秋の紅葉狩り、山道をハイキングする友人グループ。"

(2)良い例と悪い例の対比

期待する結果と避けたい結果を対比させることで、より明確な指示を与えられます。

例: 
以下のような良い例に近づけ、悪い例を避けてください:
良い例: "製品Aは使いやすさと高性能を両立させた画期的な新製品です。"
悪い例: "製品Aはとてもいいです。みんな買うべきです。"

(3)段階的な例の提示

複雑なタスクの場合、段階的に例を示すことで、プロセスを明確に伝えられます。

例: 
問題解決の手順を以下のように段階的に示してください:
問題の特定: "顧客からの苦情が増加している"
原因分析: "配送の遅延が主な原因であることが判明"
解決策の提案: "配送業者の変更と在庫管理システムの改善"
実施計画: "来月から新しい配送業者と契約、3ヶ月以内に新システム導入"」

(4)フォーマットや構造の例示

期待する出力のフォーマットや構造を例として示すことで、一貫性のある結果を得られます。

例: 
以下のフォーマットに従ってレシピを3つ生成してください:
料理名: [名前]
調理時間: [分]
難易度: [初級/中級/上級]
材料: [箇条書きリスト]
手順: [番号付きリスト]

(5)コンテキスト(背景知識や文脈、前後関係)を含む例

例にコンテキストを含めることで、より適切な応答を引き出せます。

例: 
以下のような状況での顧客対応の例を3つ生成してください: 
状況: オンラインで注文した商品が届かない顧客からの問い合わせ 
対応例: "ご不便をおかけして申し訳ございません。注文番号をお伺いし、すぐに配送状況を確認いたします。"

留意点

ただし、例示した内容に近すぎる回答になってしまったりして、創造的な回答が得られずガッカリすることもあるため、コツを掴む必要があります。

(1)過度に具体的または多数の例を提供しない。

良い例:
自然をテーマにした短い詩を書いてください。
例えば、'春の風'や'夏の海'などをイメージしても良いでしょう。

悪い例:
以下の3つの例と全く同じ構造と韻を踏んだ、自然をテーマにした短い詩を5つ書いてください:
[詳細な例を3つ列挙]

ポイント

・例は方向性を示すためのものであり、厳密な型として使用しないようにします。

・多様な解釈の余地を残すことで、AIの創造性を引き出せます。

(2)バランスを保つ

指示と例のバランスを適切に保つことで、AIが例に過度に依存せずに、指示の意図を理解できるようにします。

良い例:
環境保護に関する短いブログ記事を書いてください。記事には問題提起、解決策、個人でできる行動を含めてください。
例として、プラスチック廃棄物の問題を取り上げても良いでしょう。

悪い例:
環境保護に関する短いブログ記事を書いてください。以下の例に従って、同じ構造で記事を作成してください:
[詳細な例を提示]

ポイント

・指示を先に、例を後に配置することで、指示の重要性を強調できます。

・例は補足的な役割であることを明確にします。

(3)一般化の余地を残す

特定の例に縛られすぎず、AIが一般化できるような例を選びます。

良い例:
様々な職業の日常的な挑戦について短い物語を書いてください。例えば、教師が生徒の学習意欲を高めようと努力する話や、シェフが新しいメニューを開発する過程など、職業に特有の挑戦を描いてください。

悪い例:
35歳の男性小学校教師が、算数の授業で生徒の学習意欲を高めようと努力する物語を書いてください。以下の例と同じ展開で書いてください:[非常に具体的な例を提示]

ポイント

・多様な解釈が可能な広い概念を例として使用します。

・特定の詳細(年齢、性別、具体的な状況など)を避け、一般的な状況を示します。

まとめ

例を効果的に使うことで、言葉で伝えにくい指示でも、AIに意図を明確に伝えることができ、期待に沿った結果を得やすくなります。

具体的な例を提示することで、AIが指示内容を理解しやすくなるだけでなく、出力の質や一貫性も向上しますが、バランスを保ち、創造性を損なわないよう注意が必要です。

目的に応じて調整するテクニックを磨いていきましょう!

それでは今回はこの辺で失礼します。

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カテゴリー: AI