生産性の向上とは、同じ時間やリソースを使って、より多くの成果を出すこと、または同じ成果を出すために必要な時間やリソースを減らすことです。これには主に「効率の向上」と「付加価値の向上」の2つの側面があります。ここでは効率の向上について考えたいと思います。

私は社会人になって5年間くらいはプログラム開発を担当することが多かったのですが、その時はいわばプログラム開発マシーンと化していました。勤務時間中にどうやって多くのプログラムを早く正確に作るかが課題です。そのためにいろいろ工夫をしました。

例えば似たようなプログラムをコピーして作る。似たような機能を開発する人がいればその人が作るのを待ってその間は別の部分を作って後でコピーする、ソースコードの一部を自動で出力するプログラムを作って利用する、同じようなプログラムばかり請け負う、画面や帳票を標準化したり共通化して開発する部分を減らす、仕様を正しく把握し手戻りが無いようにするなどです。

プログラムを開発する工程ばかりではありません。早く寝て早く起き、集中する作業は午前中に行う、次の日の作業を具体的にメモして帰る、お客さんと打ち合わせ事項を明確化する、確認事項をリスト化、開発後のテストデータを生成するプログラムを作っておいたり、テストを自動化するようなプログラムを作っておいたり、前後の工程も楽に早くやる方法を考え実行していました。単発の仕事ではなく繰り返して使える道具や仕組みを作るそんな感じです。ただ良いことばかりではありません。だんだん飽きて来ます。

さて、個人レベルで生産性を高める努力もありますが、組織レベルでもあります。

組織のレベルですと業務一覧や業務フロー、役割分担表、人や物の動きや流れの把握などを基本に、問題点やボトルネックを把握していきます。業務ごとに分析することはたくさんあります。例えばどんな問い合わせが多いのかとか、どんなクレームが多いのかとか、顧客対応で時間がかかるのはどんな対応なのか、誰が生産性が高いのかなどなど。

倉庫や工場などでは物を動かすのは大変です。広いし、重いし、扱いも慎重にしなければなりませんし、探しに行くのも面倒。人と物と書類やデータの流れなどもタイミングが合わないと滞留します。

こうして分析しているとイレギュラーな業務のために見合わないキャパを使っていたり(ムダ)、倉庫への保管の仕方を頻度順ではなく品目順にした方が実は早いとか(非効率)、取引先との力関係でお金にならないサービス的な作業をさせられていたり(ムダ)、誰も知らない使っていないシステムや契約があったり、時期によって忙しさにムラがあったり、権限に見合わない責任を持っていたり、長時間労働や、能力を超えた難しい仕事だったり(ムリ)、できない人がいたり、やらない人がいたり、指示が曖昧で時間がかかったり、チェックが厳しすぎて必要以上に時間がかかったり、聞ける人がいなくて、聞きづらくて時間がかかったりと普段、管理者が意識していなかった「えっ」っていう仕事や状況に気がつきます。つまり見える化が重要です。

見える化ができればあとは問題点や今後を見据えた課題を抽出し、改善策や施策を考えます。止める、捨てる、単純化する、一緒にする、アウトソースする、仕事を集約して専門化する、権限を委譲する、システム化するなどいろいろ考えられます。

しかし問題なのはこの見える化までの作業です。

見える化や改善を嫌がる管理者や担当者もいます。見える化するといろいろ要求されるかもしれない、見える化するとムダなことと否定されるかもしれない、これまでのやり方を変えられては面倒だ、自分だけの領域がなくなってしまう、蓋をしてきた問題が見える化されると面倒なことになるなどです。海外工場の場合はやりすぎると危険を伴う場合もあります。

ということで、システムの場合もそうですが動いているものに手をつけて改善するというのは動機がなく面倒です。嫌われたくは無いですし現状も忙しい訳ですから。

しかし、人材不足が一層深刻で、働き方改革、デジタル化、世界的な問題など、大きな変化が起こっている中、より生産性が高く人が集まる魅力的で心理的安全性の高い職場に高めていくことも競争です。常に全員が自責思考で問題意識を持ち、改善をし続けるそうありたいものです。

と言うことで、次回からは生産性を改善するためのステップについて考えてみたいと思います。

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