みなさん、こんにちは。
デジタルツール・生成AI活用アドバイザーの津田淳(中小企業診断士)です。
今回は経営理念を言語化することの意味について考えてみたいと思います。
経営理念は単なる飾り文句ではなく、企業の存在意義(パーパス)、基本的な価値観、そして目指すべき未来像を明確に示す羅針盘としての役割を果たします。
私がこの大切さを痛感したのはタイ・バンコクへ駐在して中小企業支援を実施していた時の事です。
日本では名のある企業でも海外に出れば無名という事が多いです。どんな商品やサービスを提供していて、それがどれほどに便利かという事は重要ですが、その前に「自社がどのような思いを持って、何を目指している会社」なのか、この国で「どんな価値を提供できるのか」というストーリーを伝える事が価値観の違う海外において顧客や協力先、従業員の一体感を得るために重要だと感じるようになりました。
それが経営理念です。
経営理念は組織において重要な三つの機能を持っています。まず、日々の意思決定における判断基準として機能し、複雑な状況下での選択の軸を提供します。
次に、企業の価値観や倫理観を形作り、従業員の行動規範となることで、独自の組織文化を醸成します。
そして、組織の一体感を生み出し、従業員のモチベーションを高める求心力としても作用します。
しかし、経営理念は必ずしも明文化される必要はありません。経営者が熱意を持って継続的に語り、体現し続けることで、組織の中に自然と形作られていくものです。
一方で、単に明文化しただけでは十分に機能しないことにも注意が必要です。
経営理念が抽象的すぎたり、現実の事業活動との一貫性を欠いたり、形骸化して単なるスローガンと化してしまったり、あるいは組織内での認知や理解が不足している場合には、その効果を十分に発揮することができません。
特に組織が成長期を迎え、従業員数が増加し、組織構造が複雑化し、多様な人材が参画するようになると、経営理念の重要性は一層高まります。
また、グローバルに事業を展開する際には、異なる文化や価値観との調和を図り、統一された価値観を確立し、一貫した意思決定を行う上で、経営理念は極めて重要な役割を果たします。
それでは、経営理念はどのように考えれば良いでしょうか。以下の要素が含まれることが多いです。
・パーパス
自社は何のためになぜこの社会に存在するのか、どのような影響を社会に与えたいか、社会やステークホルダーに対して、どのような価値を提供するのか。
例えば「匠の技とデジタルの融合により、全ての地域産業が世代を超えて輝き続ける社会を実現する。 その中核として、日本の伝統産業のデジタル革新を牽引する、なくてはならない存在となる」などです。
・ビジョン
将来達成したい理想的な状態や長期的目標。これは社会的視点と自社視点の両方を含むと分かりやすいでしょう。
例えば「匠の技とデジタルの融合により、 すべての地域産業が世代を超えて輝き続ける社会を実現する」などです。
・ミッション
パーパス(私たちの存在意義)とビジョン(目指す姿)を実現するために、自社の強みを活かして何をするのか中核的な活動や自分たちがやるべき使命。
例えば「伝統技術とデジタル技術を融合させる独自の支援手法で、 職人の技の継承と新たな市場創造を実現する」などです。
バリュー 大切にする信念や原則。組織や従業員が判断・行動する際の「価値基準」や「行動指針」です。
例えば以下の通りです。
・地域への貢献 – 地域の未来に責任を持つ
・革新性 – 常に新しい解決策を探求する
・誠実さ – 真摯に向き合い、約束を守る
・共創精神 – 共に考え、共に成長する
これらを言語化するためには下記のような事を考えてみると良いと思います。
1. 自社(創業の場合は自分)の理解を深める
創業の経緯、製品やサービスの歴史、主要な顧客、顧客との関係性、市場環境、会社の歴史、先輩たち、強みや能力、評価されてきたことなどを考えます。
・なぜこの事業を始めたのか?どのような想いでやってきたのか?
・どのような強みを磨いてきたのか?顧客に何を評価されてきたのか?
・社会のどんな課題を解決したいのか?
・従業員が誇りを持てる存在意義とは何か?
2.これからの未来を考える
未来の地球環境、世界、社会ではどのようなことが望ましいのか、どういったことで貢献したいかなど考えてみます。
3. 価値と信念の洗い出し
何が大切なのか、大切にしてきたのか洗い出します。例えば透明性、品質、革新や挑戦、倫理的な行動、チームワークなどです。
・今までに直面した最大の危機や重要な選択の際、何を最優先にして判断し、どう行動してきましたか?
・お客様や社会から『この会社でなければならない』と言われる理由は何だと考えますか?
・100年後も変わらず大切にしていきたい、この会社の”魂”とは何ですか?
4. 目的の明確化
企業が提供する価値、社会への貢献、変えていきたい世界の姿などを考えます。
・私たちは誰に、どのような価値を提供することで、どんな変化を生み出したいですか?
・私たちが存在しないことで、社会はどんな不便や損失を感じるでしょうか?
5. 長期的なビジョンや目標
将来達成したい目標や目指す未来像を考えます。これは自社の目指す姿、例えば業界で最も信頼される企業を目指すなどです。また社会の姿として、持続可能な社会を目指すなどです。
・20年後、私たちはどんな企業になっていたいですか?その時、何で評価され、何を実現していますか?
・私たちの活動によって、どのような社会の変化を実現したいですか?その変化は誰にとってどんな意味がありますか?
・私たちが目指す『世界一』は何ですか?その実現は社会にどんな変化をもたらしますか?
上記の質問に回答した後、生成AIを使って言語化してもらう事も可能となります。ただ最終的には自分の中で腹落ちするまで何度も反芻する事により完成させることが望ましいです。
経営理念を言語化することで、組織の意思決定における判断基準が明確になり、迅速で一貫性のある行動が可能になります。
従業員の方向性の共有やモチベーション向上につながり、組織文化の形成を促進します。この効果は大きいと思います。急に成長する人も現れます。
対外的には、ステークホルダーとの関係強化やブランドイメージの確立に寄与し、社会からの信頼獲得にも貢献します。どういう姿勢で事業をしているのか分かり共感できるからです。
さらに、事業戦略の指針となり、イノベーションの方向性も明確になります。これにより、短期的な効率化から長期的な企業価値向上まで、幅広い効果が期待できます。
なお、私はこの経営理念の言語化も支援しています。経営者にインタビューをしてお話を聞かせていただき、またホームページ等の情報も踏まえ、生成AIを活用して言語化します。
この言語化をすると会社のみんなのやる気がみなぎってきますのでオススメです。
それでは今回はこの辺で失礼します。
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