皆さんこんにちは、千葉県松戸市の中小企業診断士の津田淳です。

最近、新規事業戦略を考えるお手伝いをする機会が増えてきました。

改めて難しいと思うのは価格戦略です。従来よりもコストが下がるというのはBtoBであれば基本です。会社は利益を追求するからです。

しかし、東南アジア展開においては、このコストメリットを打ち出す事が難しい。そのためターゲットとして高所得者だ、財閥だ、日系企業だという事になりがちです。しかし、顧客も提案慣れしていて目が肥えていますので、レッドオーシャンとなります。

投資について、タイの経営者の方は回収期間は数年が目安だと聞きます。1年と言う方もいました。

「日本の製品は品質が良いのでトータルで10年で回収できます。」

という営業トークをよく聞きます。これはタイの経営者の感覚と合わないと感じてました。なお、タイの銀行貸出金利は日本の4〜5倍になります。

海外駐在時に私がある部品メーカーの方から伺った話ですが、中国メーカーは商品サイクルが例えば2年ならその程度持つ品質で市場に安価に出していくそうです。

一方、日本メーカーはそれでも10年の品質で作っていると。低い品質で出すとこれまでの信用を失うので、それはできない。安い製品で勝負すると、価格競争になる。それは避けたいとなる。だから当然長期的には品質が良いのでメリットがありますよと言わざるを得ない。ちなみにその部品については、実は中国製と性能に差がほとんど無く、顧客との信頼関係、信用力で勝負しているのが実態だそう。

よくタイの経営者の方がおっしゃるのは、価格が高いのは不要な機能や性能が含まれているから。必要なものだけで良い。そんな風に捉えられている。

昔からの取引関係、信頼関係があって継続取引をしている場合は、スイッチングコストもあって、価格を維持できているのでしょう。しかし新規参入する場合はこうはいきません。

高価格な製品を購入する顧客は限られており、日系、欧米(ドイツ等)のメーカーとの過酷な競合状態になります。そのうちに、中国等のメーカーがどんどん力をつけて、ハイエンドにも食い込んできています。

一方で別のメーカーの話もあり、その企業は日本では高品質でも現地では現地の価格、現地の品質で現地のニーズに対応した製品開発、販売方法で市場シェアをとり、市場とともに成長している。品質は割り切っているんだと。

また、別の会社の話(お店)では、まずはターゲットの人が購入できる価格帯で味は守りながら、どうビジネスを組み立てられるかと検討をしたんだそうです。結果、行列となっていました。

価格を安くすると言うのは、製品が完成してしまってからでは限界があり、すると高くても買ってくれる顧客を探すしかないという発想になってしまいます。だから、市場と共に成長するのではなく、市場の成長を待つという姿勢となりがちです。でもその市場で仕事をして顧客を知っていかないと、そのうちに市場ニーズが分からず取り残されはしないでしょうか。

何が言いたいかというと、日本で培った技術開発力やアイデア、経営力などの経験を活かして海外現地でビジネスを作っていく、まるでキャンプのようにビジネスを立ち上げちゃう、こうした能力というのがスモールビジネスでは重要なのではないかということです。

そして、そのためには、よほど渇望された世界を変えるような誰も追従できない唯一の製品でない限りは、ターゲットが誰で、どんなお困りごとがあって、競合がどこで、価格がいくらで、どんなメリットが提供できてといった点から市場調査を行なって、ビジネスモデルを組み立てていくという製品起点ではなく、顧客起点でのアプローチはやはり大切なんだと思います。

もちろんまずはやってみる、行動が先、これも大切なことです。両輪なんですね。

カテゴリー: 事業計画